SNS経由で告知するということ

さて前回は、アマチュアミュージシャンが宣伝や集客に繋げうるサービスは多数あるのに、それらが使いこなされていないことについて考えましたが、その要点は「音楽を宣伝する前にそれを作る自分について宣伝しなければならない、しかしほとんどの人はそれができていない」ことでした。
これは言い換えると、ほとんどのアマチュアミュージシャンが「音楽以外の形で自分たちをアピールすることができない」ということになります。もちろんミュージシャンにとって最も重要なのは音楽なので、音源やそれを含んだ映像コンテンツにこだわるのは大事ですし、中には「他に得意な表現形態を持っているなら音楽なんてやる必要ない」という人もいるでしょう。

しかし前稿の繰り返しになりますが、何の予備知識もなくいきなり試聴URLやライブ情報を見せられても実際に聴いてくれる人、来てくれる人はほぼ皆無に近いのです。大手事務所に所属するメジャーミュージシャンならともかく、これからの活躍を目指すアマチュア/インディミュージシャンはセルフプロデュース能力に長けていないと苦しいでしょう。
レコード会社系のオーディションを受けまくるという手もありますが、それにしたって楽曲やパフォーマンスがよほどズバ抜けている場合を除いて、審査員が最後の決め手とするのはセルフプロデュース能力であることが多いと聞きます。まぁこれは現在の音楽市場ではレコード会社の人間でさえ何が売れるか予測できなくなっていることに起因するようですが。

さてこの「セルフプロデュース能力」ですが、割と勘違いされていることが多いようです。
これは、個性というものについて多くの人が誤解していることにも通じるのですが、「自分(たち)がどういうものであるかを、ときには誇張を交えながらきちんと表現し伝える能力」であって「他人と違う何かを無理やり捻り出す能力」ではありません。
なのでキャラを演じるにしても、それが自分にとって無理なく演じられるものである必要があります。もちろん抜群に演技が上手いなら演じる自分の役割を自由に選べばいいし、またヴィジュアル系やアイドルグループのようにコンセプチュアルな表現に携わる場合には、それを無理なく演じられるよう訓練を積む必要があります。

で、ここからが本題なのですが、売れることを目指して真面目にやっているミュージシャンであれば、ほぼ例外なく作品やステージに関してはこだわりを持っています。作詞作曲にアレンジはもちろん、演奏技量向上のために練習もするし、ステージ上でのキャラを上手く演じられるよう訓練を積む人も多いでしょう。楽器の音色やレコードの音質にものすごくうるさい人も珍しくありません。
そしてその、作品やステージ表現の質を上げることももちろんプロデュースワークの一環なのですが、アウトソーシングの難しいアマチュアミュージシャンにとっては、宣伝もまたその一端、というよりむしろ本体と言えるかもしれません。

ここまでは近年よく言われることなので、少なくとも知ってる、頭では理解してる、また自分たちなりに実践もしてる、という人は多いと思います。
僕が「勘違い」と言いたいのはそこではありません。先ほどの「自分がどういうものであるかをきちんと表現し伝える能力」が、アマチュアミュージシャンの宣伝において何を意味するかを勘違いしていることが多いのです。

結論から言うとそれは「文章力の重要性を理解していない」ということになります。

大金を使ってTVコマーシャルを打ったり雑誌にカラー広告を載せたりというわけにはいかないのですから、必然的に宣伝媒体はSNSの書き込みが主になります。友人知人に直接メールすることもあるでしょうがそれも同じことです。そしてそこでは原則として文章で情報を伝えなければならないのですから、「きちんと表現し伝える文章力」が必須となります。物理的にフライヤーを配布する際にはまずコミュニケーション能力が重要になりますが、渡されたフライヤーが後で改めて読まれるときを想定すれば、やはりある程度まともな文章力で書かれているほうが望ましいでしょう。
なお文章力、といっても国語の教師に突っ込まれるような細かい助詞の使い方だとか単語の厳密な意味だとか誤字がないとかそういう意味でなく、繰り返すように「伝えたいことを、きちんと伝える」ことができればそれで問題ありません。

しかし実際にtwitterやmixiボイスなどにバンドマンが書き込むのを見るとですね。
まぁとにかく個人的な主義主張もなければ音楽をやる上での哲学というかこだわりも見えてこない話ばかり、もちろん四六時中音楽の話をする必要はないし下ネタだろうがラーメンだろうがアニメだろうがそれは勝手だし自由なのだけれど、普段から人生観も音楽観も何も見えてこないのに、いざライブ告知となったときに
「凄い日です! 対バンも凄いのでぜひ!」
とか書かれても、一体何が凄いのか、そもそもこの人にとって凄いものがどういうものか見当もつきません。また音源リリース告知のときに
「今の自分たちの全てが詰まった最高の1枚です!」
みたいなのも多いけれど、今の自分たちの全てと言われても、その今の自分たちについて普段ほとんど語られない、ヘタしたら二郎の話しかしていないのだから、既にその音楽を聴いたことのある人たちしか内容について期待することもできません。パッケージ開けたら二郎の増し増しが入ってるわけじゃあるまいし、それでは宣伝にならないわけです。
「伝えたいのは音楽そのものなんだからそこに主義主張だとか音楽観だとか必要ないだろう」という声が聞こえてきそうですが、主張がないならなおさら音楽について語らないと、あなたのことを知らない人があなたの音楽に興味を持つことはできません。「伝えたいことが、きちんと伝わってない」のです。何度でも書きますが、予備知識一切なしに試聴URLが流れてきたところでリンク踏んでくれる人はまずいないと考えてください。

長くなってきたので続きます。

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