初心者向けバンド講座(改訂版)-パフォーマンス向上編・2

今回はパート別のアドバイスをしていきたいと思いますが、ここではバンド編成で代表的なボーカル、ギター、ベース、ドラムに絞ることにさせてください。正直キーボードや管楽器のことはよくわからないので…。

まずドラムからいきます。8ビートをカッコよく叩けるようになりましょう。多少上手くなりはじめたレベルだと退屈に思いがちな8ビートですが、単純ゆえにここで気持ちよくノセれるようにならないと、複雑なビートを叩いても「浅い」ノリしか出ません。

現代のポップミュージックは16ビートが大半なので、聞き慣れているぶん叩きやすいという人もいるでしょうが、「16でノリが出るのに8では出ない」というのでは「自分がどうやってそのノリを出しているのか理解出来ていない」ことになります。

「なんとなくノリが出てればいいじゃん」と言いたくなるかもしれませんが、得意なリズムパターンでしかノリを出せないのでは作曲 / アレンジに制約をかけることになります。またお客さんがノれるかどうかはドラムが大きな責任を背負っているので、その意味ではライブ会場でお客さんを楽しませられるかどうかは実はドラムにかかっているとも言えます。
納得いかない人は、自分のプレイを録音して上手い人の8ビートと聴き比べてみましょう。それで「いやおれのプレイ完璧じゃん」とか思ってしまう人のことはまぁどうでもいいとしましょう。もしかしたら本当に完璧かもしれないですし。

それからもう一つ、スタジオでもライブでもできるだけ自分の手元でなくメンバーを見ながら演奏しましょう。そうしないと呼吸が合わず、自分はいいノリを出しているつもりでも「バンドとしてのノリ」が出ません。なおこれはドラムに限らず、ボーカルを含め全てのパートに言えることです。

次にベースです。おそらくドラムもなのですが、まず教則本などに必ずと言っていいほど書いてある「前ノリ・後ノリ」の項目、これは無視しましょう。なぜならそれらのノリを狙って出すためには、バンドメンバー全員が中級者以上であることが求められるからです。

どういうことかと言うと、前/後ノリを出すには、自分を含め最低2人が「ジャスト」のノリを意識しなければいけないからです。例えば後ノリを出そうとプレイしてる自分に、狙いを分かっていないメンバーがピッタリ合わせてきた結果、曲のテンポがどんどん遅くなるのは初~中級者バンドあるあるなのです。

ところでノリを出すということで言えば、前/後よりも実は「アクセントの位置」の方が重要です。これは何故かほとんどの教則本には書いてありません。例を出すので、もしあなたが初心者ベーシストなら、ちょっと実際にベースを持って試してみましょう。

まず普通に8分でルート弾きします。次に、1拍目のオモテだけ強く、同じ音を弾いてみましょう。はい、UKっぽくなりました。その次に、2、4拍目のオモテだけ強く、やはり同じ音を弾きましょう。するとUSハードロックっぽくなりました。アクセントの位置だけでこれだけ変わります。

なお最近はベースも花形楽器として扱われることがありますが、基本的な役割は裏方でノリを支えること、ルートを出すことです。その本来の仕事をきちんとこなせずに目立つプレイを目指してもアンサンブルが崩れるだけなので考え直してください。どうしても派手なことをしたい、「何をやってるか分かってもらえないことがイヤ」な人は、性格的に向いていないと思ってギターなりドラムなりに転向したほうが賢明でしょう。

次にギターです。まずはボリュームを下げましょう。マーシャル等、ゲインを下げると音が変わってしまうアンプもありますが、ギターしか聞こえないような音作りではバンドの意味がないので諦めてください。ちゃんと全体の音が聞こえるようセッティングしてください。

それからリズムキープをベース、ドラムに丸投げするギタリストが初心者バンドには多いですが、ドラムのところでも書いたように全体の息が合わないと「バンドのノリ」が出ないので、サボらずにリズムキープに参加しましょう。なお一応言うと、リズムをキープすることとテンポをキープすることは全く違うことです。正確であればよいというものでもないので、全体の音をきちんと聴いて合わせましょう。

また「ギターこう弾きたいから」という理由で他パートのフレーズを変えさせるギタリストも多いですが、それで自分のフレーズがカッコよくなっても他がカッコ悪くなったらバンドとしてはプラスマイナス0以下です。要求があるなら、バンドとしてプラスになるかどうかを考えてからにしてください。

こんなふうに書くとギタリストに対し悪意があるように見えるかもしれませんが、ギタリストのワガママで「もったいない音楽」になってしまうケースは枚挙にいとまがありません。「ギターは花形だから目立って当たり前」ではなく、「目立つパートだからこそ悪目立ちして迷惑をかけないよう気をつける」よう心がけて欲しいものです。

さてボーカルですが、とりあえず声量のない人が多すぎるのでまずはジョギングか水泳でもして肺活量を鍛えてください。音の大きい音楽をやりたいならなおさらです。小さい声を無理やりPAで大きくすれば当然ノイズも大きくなるので、「何を歌ってるのかよくわからない上にずっとハウリングしている」ことになってしまいます。

またタバコ吸っても酒飲んでもいいですがライブ中に声が出なくなるのは論外なので、喉が弱い人はライブ前には自重しましょう。

それから発声の悪い人も多すぎます。いくら音域広くピッチも正確で良い歌詞を良いメロディで歌おうとも発声がダメだと説得力が著しく低くなります。正直プロでも、日本ではバンド上がりだと発声の悪い人はすごく多いです。また発声の良し悪しは声量にも関わってくるので、声量に自信のない人はなおさら発声について気をつけてください。

さてここでボイトレに通うのもいいですが、当たった講師との相性が悪いと「発声は良くなったが気持ちよく歌えなくなった」みたいな話もよく聞くので覚悟が必要になります。

ところで一方、不思議なことに海外ミュージシャンではいい加減に歌っているようなパンクですら実はみな発声がしっかりしています。なので一つの提案として、僕は「英語の発声を身につける」ことをオススメします。

例えばフォニックス や英語耳 といったテキストでは単に正しい発音を聞くだけでなく、どうやってその音を出せばいいかも書いてありまたトレーニングの方法も載っています。
無理に英語で歌えというのではないし英語を話せるようになれというのでもありません。ただ日本語と英語では発声のプロセスも使う筋肉も全く違うので、良い発声、通りのよい説得力のある発声を考える上で参考になる部分は多々あると思います。

とはいえご存知の通り、英語の話せるボーカリストだからといって発声が良いとは限りません。2通りのケースがあります。1つは単に、話せはするけど英語の発声が悪い場合。もう1つは、英語の発声がきちんと出来るけど、日本語で歌った場合の発声が悪い場合。

ただいずれのケースでも対策は一緒です。少し細かく見ていきましょう。日本語の発声は腹筋をほとんど使わず出来ますが、それでは発声出来ない音が英語には多々あります。

正確には、発声出来ないわけではないけれどごく小さい音しか出ないので、非常に聞き取りにくい音になります。そこで腹筋をフル活用して「強く息を吐く」ことが必要になります。

ところでマイクに向かって歌うということは、マイクに息を拾わせるということです。当然、強く吐いた息は大きく拾うわけなので、生声で聴感上同じ大きさに聞こえる声でも、マイクに拾わせたときには強く吐いた発声のほうが大きい音になります。

この「強く息を吐く」をせずに大きな声量を出そうとすると必然、がなることになり、すぐ声が枯れます。また喉が強くなかなか枯れないにしても、多くの場合ピッチが荒れます。これが日本語であっても英語の発声を歌に活かすことをオススメする理由です。ボイトレ通いを考えてる人にはぜひ参考にして欲しいと思います。

英語の発声が普通にできる人ならそれを日本語で歌う際に活かせば、たぶん驚くほど改善されるはずです。一方、英語で歌う際に、これは日本のメロコア/ハードコアバンドに多いのですが、英語の「音」を知ってても、自身の発声が悪い人は、平坦で違和感のある英語で歌ってることが多いです。

逆にもともと発声の良い人は、英語がわからなくても英語で歌った際にたいてい自然な起伏のある、違和感の少ない響きになります。これは一般的な日本語の発声には起伏が少ないことに起因しています。一方英語は大きな起伏をつけながら話されることが普通なので、英語の発声を理解することで、歌そのもののダイナミズムも向上するかもしれません。

いずれにしても、日本の音楽リスナーは歌ばっかり聴くことは周知の事実であるにも関わらず、自身の歌力について認識の甘いボーカリストがあまりに多いので声量と発声の件を真剣に検討するボーカリストが増えることを僕は望みます。

さて「自然な起伏」という言葉が出てきたので、ついでにダイナミクスの話もしておきたいと思います。よく「強弱/大小をつける」と解釈されますが、もうちょっと解釈の幅を広げて「立体感を出す」ぐらいに考えたほうが適切だと思います。これはどのパートでも共通です。

例えば同じ大きさの音を出してもタッチが硬いか柔らかいかで音の印象は変わってきます。もちろんエフェクター等で音色自体を変えるのも同様だし、同じフレーズでも1音ごとの長さを変えるだけで全く違って聞こえます。そういうところまで含めてダイナミクスと考えたほうがいいでしょう。

あるていど演奏できるようになってきた初心者にありがちなケースとして、「Aメロを普通の強さで演奏し、Bメロをやや弱めに、サビを最大の強さで演奏する」ぐらいの認識でダイナミクスを表現したつもりの人が多いですが、これは全くの勘違いです。

実際には1音1音に対し音量や音価やタッチの大小/長短/強弱をコントロールします。さすがにエフェクターを1音ごとに変えるとはいきませんが、それらを総合して結果的に「Aメロが普通の強さ、Bメロ弱め、サビが最大の強さに聞こえる」ということになります。もちろん曲の構成はあくまで例であってこの限りではありませんが。

もう一つ例として、グランジ等でありがちな「爆音→無音→爆音→無音」の繰り返し構成のとき、全ての爆音パートを全部最大の音量、最強のタッチで演奏したら、驚くのは最初の1回目だけで、以後は平坦な音がずっと続いてるのと聴感上同じに聞こえるので注意してください。爆音の中でも微妙なコントロールは必要なのです。

なおこれは個人的な見解ですが、たいてい日本人の音楽にダイナミズムが乏しいのはその言語的特性と大いに関係あると思っています。それを理解した上で日本人ならではの特色と考えるならそれはそれで構いませんが、分かっていてやるのとそうでないのとでは音楽の説得力が大幅に変わってくるので、ぜひこの点についても一人でも多くのバンドマンに考えて欲しいと思っています。英語を勉強するか、でなければ少なくとも英語圏の音楽を勉強のつもりで聴いたほうが良いでしょう。

似たようなことを以前にも述べましたが、J-POPですらルーツを遡れば半分はブルース、英語圏の音楽なのですから。
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