日本の音楽SNSについて思うこと(3)

前回の予告通り、なぜ日本にリッチな音楽SNSが必要と思うのか? です。

と、本題に入る前に、僕はかつてtogetterまとめでこういう記事を作ったことがあります。【続・なぜライブハウスはバンドに集客を依存するのか?】
これはウェブジャーナリストの佐々木俊尚氏に取り上げられたこともあってかなりの反響を呼び、賛否両論さまざまなリプライをもらいましたが、中でも特別気になったコメントにこういうものがありました。
「ファン主体、リスナー主体でアマチュア/インディアーティストの集客や宣伝、コンサルをサポートするNPO/NGO的なサービスが必要なのかもしれない」
僕は当時ミュージシャンとその主な発表の場であるライブハウスとの関係ばかりを考えていたので、全く別のところからのアプローチというのは思いつきませんでした。
しかし言われてみると、ファンがアーティストを育て、またアーティストがファンを育てるという本来あるべきシーンの形に、そのサービス形態は確かに合致していると思うのです。このアイディアはずっと頭に引っかかってきました。

またその一方で、多くのアマチュアミュージシャンたちを見ていつも不思議に思うことがあります。
勢いよく衰退する現在の日本の音楽業界、シーンについて度々話題にしながら、なぜ
「自分たちはその中でも売れる」と思えるのだろう? ということです。
当たり前のことですが、本当に実力や才能、楽曲の良さだけで売れるのなら、オリコンチャートのトップ10が全てジャニーズとAKBで埋まるような状況にはなりません。一歩譲ってトップ10はそうであったとしても、少なくともフェス会場で数千人のオーディエンスを集めるレベルのミュージシャンが実際にはバイトしないと食えない、などという状況になるはずはないのです。
結局、音楽ファンの質量ともに底上げを図り、市場全体を盛り上げない限り、よほど才能と運とタイミングに恵まれたごく一部のミュージシャンしか売れません。

しかし単にアマチュアミュージシャンのサポート機関といっても、よくスパムで見かける胡散臭い集客コンサルみたいに見られてしまうかもしれません。
また音楽ファンがそこにスタッフとして参加したいと考えたとしても、活動内容が不可視では二の足を踏んでしまいそうです。
そこで(だいぶ飛躍がありますが)活動内容を可視化しやすくするために、音楽SNSのひとつのサービスとしてそういう機能を設けるのはどうだろう、と考えました。とはいえそれは基本的にミュージシャン、発信側にとってのサービスです。まず音楽SNSとしてユーザーが楽しめなければ始まらないので、例の【日本で盛り上がる音楽SNSを考えてみる】をまとめた次第です。

ところでそのまとめに関連したツイートの中で、こういう記事が紹介されていたので読んでみました。【音楽SNSって音楽に特化してるからつまらないんじゃね?】
もうタイトルの時点で内容がほぼ言い表されてる気もしますが、確かに「他人の聴いてる音楽なんて基本的にどうでもよい」んですよね。
基本的に、というのはもちろんどうでもよいと思わない人もいるからなんですが、しかしそういう貪欲な音楽好きだけでサービスがペイできるほど集まる国であれば僕も初めからこんなブログ記事は書いてないわけです。
このシリーズ(1)でちょっと触れたPicoTubeやturntable.fmなんていうのはまさに、貪欲な音楽好きが数多くいる国だからこそ成り立つサービスだと思います。
ちなみにPicotubeは日本版もあるので試しに覗いてみるのもいいかもしれません。現在のところボカロ好きとアイドル好きにしかほぼ使われていませんが。

次回はそこに関連して、日本のアマチュア/インディミュージシャンのITリテラシーの低さについて触れたいと思います。

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